徹底的にやらないと気が済まない・・・という「気が済まない」心性は、本人が無自覚に持っている「甘えたい」という欲求から発生するようです。「甘えの構造」という有名な本を書いた精神科医の土居 健郎先生いわく、本当は甘えたいけど甘えられないと分かっているから、甘えを否定して「気が済まない」という心性に至るそうです。

気が済まず徹底的にやるので、それが仕事に向かった場合大きな成果も出たりするのですが、どんなに成果が出ても一時的な喜びを味わった後、それでも甘えられる状況が手に入らないことに無自覚に気づいて焦燥感や絶望感を感じ、しかし無自覚なのでそれには顕在意識の本人は気づかず「この気持ちはきっと成果が足りないからだ。」と、さらに甘えを否定してしゃにむに頑張り続けたりします。しかし本人が本当に求めているのは「甘える」事であり、どんなに成果を出しても、求めるものが手に入らないという悲しいレースを続けてしまいます。

周りにも攻撃的になってしまいます。「私も甘えずに頑張ってるんだから、お前も甘えずに徹底的に戦え。」という気持ちが強くなり、相手にそれを求めます。自分と同じ甘えを否定して気が済まない心性に陥る人を見ると、ほっとします。苦しんでるのは自分だけではないのだとほっとします。しかし、ほっとできるだけで、本当は一番ほしい「甘えられる状況・関係」は手に入りませんから苦しみを持ち続けます。

ではこの苦しみから逃れるにはどうしたらいいのか? 自分の奥底の欲求が本当は「甘えたい・褒められたい・認められたい・愛されたい」であることを認めることがその鍵となります。

いままでずっと甘えを否定して頑張ってきたのでこれを認めることはとても苦しいことですが、まずは小さな「甘える」から実践するとやりやすかったりします。これまで気が済まずに頑張ってきた人の周りには、その姿を応援してきた仲間や友達が多くいたりします。そういう人達はあなたが甘えてくれることを待ち望んでいたりします。恥ずかしさや謙虚さは脇に置いて、そんな周りに素直に甘えてみてください。一方的に話を聞いてもらったり、ごはんをおごってもらったり、褒めてもらったり、ちょっとしたわがままを聞いてもらったり・・・。それを根気よく続ければ少しずつ少しずつ苦しみから解放され、いつか穏やかな温かい人間関係を作れるようになるはずです。

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