実を言うと「お客様は神様」という言葉があまり好きではない。と言っても、お客様を大事にしたくないというわけではないし、感謝していないわけでもない。むしろ私の性格上、喜ばせたくて、時には採算度外視で頑張ろうとしてしまうぐらいだ。

ではなぜこの言葉があまり好きではないのか?

いろいろとその理由を考えてみたが、なんとなく答えが見つかった。つまりこの言葉がお客様とサービス提供者の間に明確な力関係の差、ヒエラルキーみたいなものを彷彿とさせるからだ。本来はそうではないのかもしれないが、お客様が一方的に偉く、サービス提供者がその下というイメージが強い。

そのイメージに振り回されて、自分がお客様側になった時に妙に尊大な態度を取る人間がいる。みっともないほど偉そうな客は論外だが、普通に見える人でもその根底に「こちらは客なのだから、お金を出している側なのだから、やってもらって当たり前。」という思想を持つ人は少なくない。そして、そこには感謝はない。『当たり前』の中には、『有り難い』と思う気持ち(=感謝)は生まれない。

一方、これは私の考え方だが、どんな仕事であれ、お客様とサービス提供者が一体となって、リスペクト(尊敬)し、感謝しあわなければ、なかなか良い仕事はできないと考えている。当社のようにコンサルティングサービスであれば特にそうだ。

だから、この『感謝を知らないお客様マインド』は、サービス提供者はもちろんのこと、実はお客様にとっても、むしろマイナスの要因となりえるのではないかと思う。

そこで、このような厄災を生み出すこの言葉を自分なりに改良してみた。良い仕事をするための、そして良いサービスを受けるために私が最適だと思える言葉は、

「お客様は神様。そしてサービス提供者もまた神様。」

である。

我々は自分がどんな立場であるにせよ、常に素晴らしく尊い存在なのではないだろうか。全てに対して全ての人が尊敬と感謝を持てば、世の中に素晴らしい仕事が溢れ返るのではないだろうか。

全員神様。

この世の中には卑しい者など一人としていない。一人一人が光り輝く最高の存在だと思う。