人間は、自分のエゴで創り上げた周りの誰かの人格を、その本人と誤認する傾向がある。だから、自分のエゴが強いと、周りの人間に対して不満や怒りが多くなる。

これを回避するには本人との対話しかないが、あまりに自分が創り上げた偶像に囚われていると相手との心からの対話は難しく、それは相手にも伝染するため、本題とは違う部分で口論になったりする。

深呼吸して、一度冷静に考えなおしてみると、意外と自分のエゴが、実は幼稚な偶像しか創れていないことに気づく。なので、すぐに頭からそれをもみ消す。そして、相手と落ち着いて対話しつつ、もっと自然に考えて対処する。

人間のこの偶像を創り出す機能は、とてもやっかいだが、自分を守る機能としてはある程度役にも立つ。特に身の回りに本当に悪い人がいる場合はそれなりに有効だ。ただ、本当に心底悪い人間など、実は通常の生活をしているとさほど出くわさない。

もしよく出くわすとしたら、それは自分が引き寄せているのだろう。思えば昔そういう時代は自分にもあった。金や身分で付き合う人を選んでいた時代だ。今は完全に逆転していて、良い人かどうかが付き合う基準だ。

良い人ばかりが周りにいるとエゴを手放しやすくなる。エゴの創り上げた偶像にも惑わされにくくなる。そうか、人間性を高めたかったら、人間性の高いコミュニティを創ればいいのか。多分そうなるとそこに関わった人は自然に高まっていくんだろうなあ。