社内では対話による相互理解をとても大事にしています。単に仕事上に必要なスキルや経歴といったものだけでなく、その人の生い立ち、学生時代の思い出、楽しかったこと、つらかったこと、今の悩み、とにかく公私の境目なく対話し共有し探究します。

たとえば、とある社員が恋愛に悩んでいたら、それを我々は会議中で話し合ったりします。家族問題で悩んでいたら、それぞれにアドバイスし合います。障害を持つお子さんがいらっしゃる社員もいます。我々はその人が今どんな想いで仕事しているか、どんな悩みがあるのかに耳を傾けます。

普通の会社の経営者はこのような対話をあまり好まないケースが多いです。直接的に収益と関係ない話なので業務外でやってほしい、あるいは、変に仲良しクラブになられると闘争心が希薄になりガツガツ仕事しなくなるのでは?という恐れもあるようです。

しかし、対話による相互理解を愚直にやり続けていると、実は仕事にも素晴らしい効果が生まれます。

相互理解が進むことで、多様性に富んだ人材が集まっているにもかかわらず、お互いの信頼感が増し、ほとんど無駄な衝突がなくなります。これはプロジェクトを進める上でとても効率的です。我々はまるで、サッカーにおけるアイコンタクトのように、実に効率的で流麗に、案件情報を必要な人に必要な分だけ共有し、最適なチームを組み、滞ることなくプロジェクトをスタートさせます。

しかもその動きは主体的で自発的です。全体の状況や個々人の状況をそれぞれが深く理解しているので、自分がやるべきこと、やったほうがいいことを高いレベルで理解しています。びっくりすることに、社長である私がいちいち号令しなくても(そもそもうちには命令という概念がないですが。)、新しい案件が勝手に発生し、いつのまにか勝手にチームが編成され、勝手に進んでいます。

闘争心のかわりに相互扶助の考えが根付きます。「新しい社員の仕事を取ってきてあげなきゃ。」「●●さんは打ち合わせに行きづらい環境だからカバーしてあげよう。」「あの人タスク漏れが多いから先にチェックしといてあげよう。」「最近●●さん凹んでるから、励ましてあげよう。」「風邪ひいてるなら僕が代わりにやりますよ!」・・・そういった想いが社内でいつも飛び交っています。我々は助け合うという素晴らしさを知っているからです。そしてその助け合いが、感謝を生み、更なる活力を無限に引き出します。

やはりこの組織で一番驚くのは、新しい社員が入る時。たった1,2回会っただけで、信じられないぐらい仲良くなって、すぐに仕事が始まります。これは毎回私自身が驚いています。

こんなに素晴らしい対話による相互理解ですが、まだまだほとんどの経営者がその素晴らしさに気づいていません。今後我々の組織がもっと拡大することで、このような組織作りを常識にし、もっと自然体で笑いあいながら幸せに、しかも効果的に仕事できる人達を増やしたいと思っています。